ひとにそれぞれ思いがあって、「あなたにとって、居ごこちとは」と問われた時の応えは千差万別です。
その応えがまた、その人そのものを現わしています。
個性的であると同時に、ときにそれは、典型的といえるほどに、私たちだれにでもある見方を代表しています。
あるとき、当時華々しく活躍されていた歯医者さんがいました。TVでも出演依頼があるほどでした。
そこの待合室でたまたま居合わせた、健康意識の高いご婦人がおられました。
お話するうちに、私の関心事、「居ごこち」に話が及びますと、初対面ではありましたが、彼女は即座に「女に居ごこちはいらない!」といわれました
その理由をうかがうと、
「私は、三人の子供と主人のために、家庭の主婦としていつも居ごこちをつくっているのです。だから自分が居ごこちを手にするどころではありません。」というのです。家庭にあって、居ごこちをつくれる自信に満ち、また、そのように「居ごこち」を考えておられるのでした。
私も、「居ごこち」に取り組みはじめたころでありましたので、この応えに出会い、「そうか!」と思い知らされたのでした。この応えひとつにも、多くのことが詰まっているように思いました。